いちとはぎの新婚生活


by clemenskrauss
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

タグ:ソポクレス ( 1 ) タグの人気記事

f0022130_0524649.jpg古代ギリシアの悲劇作家ソポクレスの代表作。
言わずと知れた物語ですが、こうして改めて読んでみるとその強烈で無駄と迷いのない話の展開に釘付けになります。また、アリストテレスの「詩学」を元に分析するなど解説も充実しており、1粒で2度美味しくなっています。

以下、まとまりのない感想文。

解説では同じオイディプス王の悲劇を取り上げたソポクレスとアイスキュロス、エウリピデスとを比較しているのがなかなか興味深いところです。ソポクレスが散逸せずに残っているのに対し、アイスキュロスとエウリピデスはすでに失われてしまっているわけですが、アイスキュロスの場合同じ三部作として書かれた「テバイ攻めの7将」が残っており、ここからオイディプス王の描かれ方が類推できるようです。
それによると、アイスキュロスが神託を無視したオイディプスの父ライオスに対する、アポロンの呪いによる不幸の連鎖として描いているらしいのに対し、ソポクレスはオイディプス自身を初めとする人間が、良かれと思って行った一つ一つの行為の積み重ねの結果としての悲劇であると。当然簡単に優劣をつけることはできないけれども、人間のドラマとして描かれているからこそ作品に生命力や力強さが生まれているのかもしれない。

アリストテレスによると悲劇において最も重要な素因は出来事の構成にあるそうで、「逆転」「発見」「恐れ・あわれみ・いたましさ」を要素として挙げています。筋の「逆転」が先立つ出来事との因果関係があること。真実の「発見」が無理のない驚愕とともに出来事の結果としてもたらされるものであること。さらにこれら「逆転」と「発見」が同時に起こる場合が最も優れていると述べており、例としてソポクレスのオイディプス王を挙げています。なるほど、確かにオイディプス王においては恐るべき真実の「発見」により「逆転」が発生していますね。しかも、真実が善意からもたらされるというのも大変効果的です。

また、「恐れ・あわれみ」と呼び起こすための人物の設定として、特別に優れた人でも邪悪さのために不幸になるのでもなく、ただある過ちのために不幸に陥るような人であり、名声と幸運のうちにある人物であるべきだと述べており、やはり例としてオイディプスを挙げています。

更にアリストテレスは、恐ろしい行為が近親者同士の間で行われる場合の方が、敵同士や他人同士の間で行われるよりも「あわれみ」を呼びやすいと指摘したうえで、(a)この行為が近親関係を知りつつ意識的になされるか、(b)それと知らずになされるか、(c)果たされるか、(d)果たされないかといった条件の組み合わせごとに比較し、オイディプス王のような(b)+(c)のケースを高く評価しているとの事。
ただ興味深いのが、この意味でアリストテレスが一番高く評価しているのが(b)+(d)のケースで、エウリピデスの「タウリケのイピゲネイア」を例に挙げているのだとか。イピゲネイアといえばアガメムノンの娘でエレクトラ・オレステスの姉。これは一度読んでみたいなぁ。

イチ
[PR]
by clemenskrauss | 2008-04-25 00:47 | 積読日誌